平成23年3月11日に東日本に大震災が発生し、被災地から避難して阪神間に仮住まいを始めた方々へ、3月19日から生活物資の支援を始めました。行政が用意した市営住宅などの空き部屋には必要な家財が揃っているわけではなく、ほとんどの避難者の皆さんは、まさに着の身着のままでこちらへ来られています。そんな方々へ、私たちがリサイクル用にストックしていた品物を贈ったのが始まりでした。
4月中旬には支援数20世帯を超え、その様子が4月19日付の神戸新聞で紹介されると、品物の提供の申し出が相次ぎ、しばらくは事務所の電話が鳴りっぱなしでした。同じ頃、家電量販店からも新品の冷蔵庫・洗濯機・炊飯器・照明器具が提供され、活動はピークに達しました。また、P&Gからも洗剤類の提供がありました。
その後、5月28日付の朝日新聞夕刊にも活動が紹介され、6月上旬には支援世帯数は50世帯以上を数え、皆さんから感謝の声がたくさん寄せられました。
主な支援品は、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジや炊飯器などの家電品からタンス、テーブル、本棚などの家具、毛布や衣類に至るまで多岐にわたりました。
震災後5ヵ月を経た現在、支援件数はやや落ち着いており、峠を越したとも言えます。しかし関西への避難者は福島県の方が多く、今後の福島第一原発事故の状況によっては、さらにその数が増えることも考えられます。私たちとしてはそうならないことを願うばかりですが、備えだけは万全にやっておかなければなりません。
これら一連の活動を通じて判った事ですが、新聞記事に掲載されたおかげで支援物資の確保は順調に進みましたが、一般の方々からの提供申し出に対して、車両とスタッフのやりくりがつかず、品物を引き取りに伺う事だけでも困難を伴いました。
神戸市須磨区西落合の活動拠点では、品物を展示することができるため、被災者の方々が実際にご自身の目で見て選ぶことができたのは大きな利点であったと思います。
もう一つ、新聞報道のおかげで物資提供者は多く申し出てくださったにも関わらず、当初、被災者の方々には情報が十分に伝わらなかったことです。しかし、被災者の方より色々な情報を神戸市の方から受けていることがわかり、神戸市の担当部署に連絡を取り、私たちのちらしを被災者向けの情報の中に入れて頂くことができたのが6月初旬で、280世帯の方々の配布されたようで、配布直後はたくさんの方々に来て頂きました。もっと早く被災者の方々に連絡ができればよかったのにと残念でなりません。
その後、テレビでも取り上げて頂きました。サンテレビで毎日5時30分の「NEWS SIGNAL」で6月28日(火)に放送されました。まる一日をかけて、現在の活動等や被災者の取材、被災者宅に訪問しての取材等がありました。番組は7分間の特集コーナーで放送されました。私たちのミーティング、代表者へのインタビュー、被災者へのインタビューと盛りだくさんで非常に分かりやすく紹介されました。
6月末の段階において支援世帯数は70世帯になり、配達した冷蔵庫は23台、洗濯機は21台になりました。 7月に入り当方が窓口となり、兵庫県内の各種団体のご協力により被災者の方々に自転車(新品:シティサイクル)をお贈りすることになり、被災者の方々に連絡をしたところ157台の申し込みがありました。8月28日に神戸市垂水区のベルデ名谷の団地集会所にて「自転車贈呈式」を執り行いました。この式典において自転車受領者より「行動範囲が非常に広くなります」というあいさつがあり喜ばれました。
震災から6ヶ月が経った今、被災者の方と接する機会が多いので、被災者の方々は色々な思いを持っていることが分かります。元のところに戻りたいのに原発の関係で戻れない。子供が小さいので神戸の地に住もうと思っている方。就職をどうすればよいか悩んでいる方。皆さんのお話を聞くと胸を締め付けられる思いになります。一部には元の所に帰った方もいらっしゃいますが、原発事故長期化の関係で最近になって避難された方もいらっしゃいます。この先非常に不透明で、これからも継続的な支援を続けなければなりません。